ナースセンターとは
1992年(平成4年)6月26日の「看護師等の人材確保の促進に関する法律 第3章ナースセンター」の条項に基づき、看護師人材を確保するために都道府県ナースセンターが設置されました。
なお、施設名称がナースバンク、ナースプラザとなっている都道府県もあります。
各都道府県にある公共職業安定所(ハローワーク)管轄の基で運営されている公的機関で、都道府県知事が認可しますが、設置は各都道府県ごと1ヶ所に限定されています。
また、看護職経験者が相談員として対応してくれるので、専門的な相談もしやすく無料で安心して利用できるのですが、看護師の利用率は20%以下とかなり低い状況が続いています。
これにはいろいろな原因がありますが、以下で順次説明していきたいと思います。
また、eナースセンターは、公的機関である日本看護協会中央ナースセンターと各都道府県看護協会ナースセンターが運営する看護師・保健師・助産師専門の求人サイトです。
なお、民間会社の運営サイト「ナース人材バンク」と、ここで紹介しているナースセンター主催の「ナースバンク事業」とは何の関係もありませんので混同しないようにお願いします。
実際混同している方もいます。
求職者に対するサービス内容
都道府県ナースセンターで実施されている事業サービス内容は次の通りです。
- 無料職業紹介事業:
看護師を採用したい施設からの無料求人登録、看護師などに対する求職相談、就職イベント、公共職業安定所での出張相談など、eナースセンター、ナースセンターを活用した無料就業支援業務を行っています。 - 復職支援研修:
看護師が再就職しやすいように、最新知識を学んだり技術演習などができる復職支援研修会を行ったり、新人研修や就業相談などを各ナースセンターで無料で実施してます。 - 普及啓発事業:
これから看護職を目指す学生や一般社会人に対して、医療機関での看護体験学習を実施したり、情報誌やリーフレットでナースセンターの各種事業内容を紹介しています。 - 定着支援・相談事業:
医療機関に対して看護師の中途退職を減らし定着率を向上させ、人材確保を図るための支援事業も行っています。
ナースセンターでの看護師求人の探し方・利用方法
e-ナースセンターの窓口・利用時間
法律によりナースセンターは原則47都道府県に1ヶ所しか設置できません。
但し、北海道、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、長崎県に関しては支所がいくつか設置されています。
公共機関であるナースセンターの利用時間は次のようになっています。
実際に就職相談する場合は、遅くともPM4時くらいまでに入らないと満足できる相談はできないと思います。
- 開館日:平日(月〜金) AM 9:00〜PM 5:00
- 休館日:原則、土曜日・日曜日・祝日
ナースセンターの利用方法
ナースセンターに登録している求人施設の割合は、ハローワークと同じで無料求人登録できるので、中小規模の医療機関が多く登録されています。
逆に規模の大きい病院などは、費用がかかっても必要な人材を確実に採用できる民間経営の人材サービス会社を活用してケースが多い傾向にあります。
就業支援の相談員については、ハローワークは一般人であるのに対し、ナースセンターは看護職経験者が担当しているという点が大きな特徴です。
なので、看護師の立場に立って気持ちを汲み取り、専門的な事に関しても相談できるという利点があります。
就職・転職活動については、施設で就業相談や仕事探しをする場合は、ナースセンターへ来所し求職者登録が必要ですし、eナースセンターを活用して仕事探しをするにはネットから登録する必要があります。
eナースセンターでネット求人検索も可能
eナースセンターはインターネット上で看護師の求人情報を検索することができるサイトです。
まず求職者登録を行い、応募したい求人があれば、ナースセンターからの紹介応募と直接施設に応募できるシステム応募が選択できます。
但し、ネットから紹介応募を選択した場合、紹介状を受け取るまで時間がかかるので、ナースセンターへ出向いて紹介依頼した方がいいと思います。
応募先施設と連絡が取れれば、その時点で紹介状を即発行してもらい受け取ることができます。
就職が決まるまでの流れ
- 求職者登録:
必要事項を入力しユーザー登録を行います。 - プロフィール登録:
ログインして新規求職票登録に希望条件を入力します。 - 自動マッチング:
求職票の希望条件と合致した求人情報の自動マッチングが行われポータル画面に表示されます。 - 求人検索:
様々な条件で検索できます。 - 希望求人情報の問合せ:
ナースセンター又は応募先に問合せをして確認が行えます。 - 求人に応募:
応募方法には、次の2つがあります。- システム応募:直接施設へ応募する方法
- 紹介応募:ナースセンターからの紹介で応募する方法
- 就業:
- 求職票抹消、及びユーザ情報を更新し活動停止します。
- 複数の採用通知があった場合:就業先以外の施設には辞退の連絡を入れます。
ナースセンターの問題点、メリット・デメリット
営業所が少なく不便
ナースセンターは各都道府県に1箇所しかなく、大変不便です。
ナースセンターの近隣に家がある方はいいですが、それ以外は場所が遠く、行くにもかなり時間がかかります。
営業日時が限られていて利用しにくい
利用できる時間もほとんどが月〜金の AM 9:00〜PM 5:00となっており、日勤の場合は相談しに行くことができません。
サービス・利便性が悪いという調査結果が
ナースセンター・ハローワーク・転職サイト(有料職業紹介事業者)を利用した際、使い勝手10項目について評価を比較したデータがあります。
この調査結果によると、ナースセンターがトップ評価された項目はゼロでした。
ハローワークは登録求人数が多い1項目のみ、他の9項目は民間職業紹介事業者(転職サイト)がトップ評価を受けています。
民間職業紹介事業者では、主に次のような項目が高評価されています。
- 休日でも就業相談可能
- 入職後も継続的な支援サポート
- 確実に就業先が紹介され成約率が高い、早い
- 相談員の対応がきめ細かい
ハローワーク・ナースセンター・転職サイト(有料職業紹介事業者)を利用した際の使いやすさについて調査した評価結果
ナースセンターのメリット・デメリットについて
民間の看護師人材紹介会社との比較
民間の人材紹介会社の特徴
民間の人材紹介会社の収益は、紹介先の医療機関から紹介手数料を得ることにより成り立っています。
中途退職することなく継続して働けるような職場に求職者を入職させなければ、経営が成り立たないので相談員は必死です。
また、収益となる紹介手数料は、入職した看護師の年収の20%程度が病院から支払われます。
なので、希望条件にあった医療機関を積極的に紹介し、少しでも高い給料をもらえるように待遇面や給与の交渉も無料で代行してくれるのです。
ナースセンターの特徴
一方、ナースセンターやハローワークなどの無料公共職業紹介所は、全て税金で運営されているので、経営が悪化したり、相談員の収入が減るなどということがなく、口にこそ出しませんが、あなたが就職できようが、できまいが全く影響がないわけです。
このような現状から考えると、ナースセンターやハローワークの評価が民間の人材紹介会社より悪いというのもうなづけると思います。
相談をするために出向いても、結局全部自分で一から探さなければいけなくなった方は多くいます。
都道府県ナースセンターが行った看護職の再就業実態調査では、ナースセンターからの紹介で正職員として再就職した看護師の内、約50%が「就職後の給与が希望額より低くかった」と回答しています。
この事実から考えると、給与交渉まで代行してくれる民間会社を利用しない場合は、2分の1の確率で年収が下がってしまう可能性があるという事です。
管理人アドバイス
ブランクのある看護師の方には、ナースセンターはお勧めできます。
その理由は、復職支援研修や再就業支援研修が行われており、看護の最新知識や技術演習などの研修を受けることができます。
看護師資格を持っていても結婚・育児などで長期間に渡り看護現場から離れていた方や、臨床経験が少ない方が職場復帰をする際には研修が大いに役立ちます。
但し、仕事をしながら転職活動を考えている現役看護師の方は、利便性から見て不向きなので、民間の看護師専門転職サイトを活用する方が得策だと思います。
民間会社は、看護師の登録数や求人依頼を少しでも伸ばそうとサービス向上に努め厳しい環境で生き残りをかけて競争しているわけです。
しかし、ナースセンターやハローワークなどでは、そのような切磋琢磨する環境にさらされていない為、 どうしても利便性、使い勝手、サービス内容などが劣ってしまうという側面があります。
そのため、ナースセンターやネット求人のeナースセンターのみを利用して偏った求職活動を行っていると、高待遇の求人情報が実際あるにも関わらず選択肢が狭められ見逃してしまう可能性もあります。
なので、同じ公的機関であるハローワーク、民間機関の転職サイトなど複数の手段も併用して就職活用を行うことをお勧めします。
また、看護協会のeナースセンターと民間運営の転職サイトに全く同じ求人情報があった場合などは、eナースセンター経由で求人応募する方が採用企業側の経費がかからず条件的に有利に交渉できるケースも考えられるので、状況を見ながら上手に活用すべきだと思います。
人材紹介会社を有効に活用することで、職場の内情や求人の詳細を知ることができ、給与や待遇などの雇用条件の交渉代行、退職時のアドバイス、入職後も継続しての支援・サポートなどを全て無料で受けることができます。
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